居心地のよい縁側

拙亭では外来者は、何故か玄関からではなく、わざわざ裏手の縁側の方へ回ってくる。階段がきつい所為もあるが、地元の方は皆、地下足袋を履いているので、そのまま腰かけられる縁側の方が便利なのかもしれない。しかし郵便局の配達人や簡保の集金人までも縁側の方へ来るのだ。突然、縁側に見知らぬ人が立ち「こんにちは」と声をかけるものだから、最初の頃は少し戸惑ったが、最近は馴れてきて、何時でも対応できるよう座布団ぐらいは出せる準備をしている。更に茶の準備も予め用意しておくようになった。やはり縁側は心置きなくくつろげる場所なのである。今日のように晴れた日は戸を開け放ち、吹き抜ける風を感じながら、また鶯などの鳥のさえずりを聞きながら、横になって、特に考え事をする訳でもなく、ただ、ぼんやりと遠くの空を眺めるのである。狭いながらも縁側は実に心地よい。

縁側から眺める空の景色
縁側から眺める空の景色

逆に裏庭の草地から眺める景色
逆に裏庭の草地から眺める景色